Thanks giving(サンクスギビング) 感想

2023年12月29日、一番乗りで観てきました。

 


〜簡単なあらすじ〜


主人公は街一番のスーパーマーケット「ライトマート」の経営者の娘ジェシカ。

謝肉祭の日、ライトマートは大セールを開催する。ライトマートの前には、我先にと押しかけた興奮状態の群衆が、開店前から長蛇の列をなしている。

そんななか、ジェシカは高校の一軍仲間と開店前のライトマートに入り込み、買い物をする。

その姿を見た群衆の不満が起爆剤となり、遂には暴動が発生。巻き込まれた警備員や店員の家族が死亡してしまう。

 


悲劇の謝肉祭の一年後。謝肉祭に向けてはなやぐ街で、一年前の暴動に関与していたダイナーのオーナーが惨殺される。

この事件を皮切りに、暴動の関係者が次々と惨殺されていくなか、ついにはジェシカと仲間たちにも魔の手が及ぶ。

 

 

 

〜ネタバレありの感想〜

 


R18のスプラッタ映画ですが、人体の強度が豆腐並みで、“画面の向こうのもの”という安心感があり、強い不快感なく観れました。感覚器官の欠損など痛い描写もありますが、ねちっこくはないのでそこまでしんどくないと思います。

また、謝肉祭の料理に準えた殺人ではありますが、ハンニバルのようなグルメキラーやカニバリズムものではなく、実際に調理されたのは1人、ワインにされたのが1人、他は食卓にご案内されたか、食卓にも呼ばれず殺し捨てられたか、といった感じです。

 


ストーリーとしては、お面を被ったキラーによる復讐物で、怪しい人がたくさん出てくるので、最後まで犯人を考えながら観れる楽しさがあると思います。

具体的に怪しい人としては、謝肉祭の悲劇で怪我をし野球選手生命を絶たれてから音信不通になっていたジェシカの彼氏、ジェシカに恋心を寄せる優等生ライアン、やたらとジェシカと仲間に絡む銃火器の売人、事件の一年後に新しく配属された保安官代理、一軍仲間の一人にパシられる同級生…

全体として登場人物が多く、それぞれが個性的なので、(自分が日本人なせいかも知れませんが)人の区別をつけるのが難しいシーンもありました。

ラストは、みんな大好き「…オチなんてサイテー!」なオチ。ちゃんと解決はしますが、次回作を作れそうな雰囲気でもありますね。

 

主人公のメンタルやフィジカルに安定感があるので、最後まで安心して観れました。特に、スマホの画面の反射で、背後にキラーがいることに気が付いた時の反射神経の良さに、「あ、これ大丈夫なやつだ」と思ってしまった…

 


冒頭で、謝肉祭を祝うジェシカの家族と、ライトマートの店員の家族の様子が描かれます。どちらも幸せそうな団欒の一幕ですが、社会階層の差が描かれているように思いました。

また、ジェシカと仲間たちはいわゆる”一軍“であり、スクールカーストの描写もあります。

スプラッタは“いけすかない一軍”や“無礼な若者”が酷い目に遭わせることで、溜飲を下げる、キラー側の心持ちで楽しむ作品が多そうなイメージをもっていました。が、今作は、主人公陣営が人間的にそこまで酷く描かれているわけではないので(例えばスクールカーストも支配しっぱなしというわけではなく、逆にやり込められるシーンがあったり)、主人公陣営の心持ちで観ることができると思いました。

キラーも徹底して人間離れしているわけではないというか、主人公陣営が上手く立ち回るシーンも度々あるので(結果として必ずしも生き残るわけではないですが)、追われる恐怖はあれど、中盤以降は”圧倒的な理不尽さ“みたいなものはないです。

 


個人的には、「これから感覚器官を攻撃します」という匂わせ描写がツボでした。

また、モブキャラやエキストラが結構キャラ立ちしていて、色んな方向に視点がいってしまうので、混乱はしたものの、ある意味リアルというか、皆魅力があって良いなと思いました。特に、高校の授業後に教室から出るシーンで、背後を歩いている高身長のオシャレなエキストラがイチオシです。